声量を出すためには、十分な息で、十分な声帯振動を起こし、咽頭腔(声帯から口)、口腔(口の中)、鼻腔(鼻の中)の空間(共鳴腔)に響かせることで、音を増幅させることができます。

基本的なトレーニングはウォーミングアップ・クールダウン の項目で取り扱ってますが、ここではさらに強化できるメニューを記載します。

ブレス強化

◎横隔膜維持の強化

  1. できる限りおなかを引き寄せる(凹ませる)
  2. 息は自然にする
  3. そのまま、30秒維持

 

◎ロングブレス

  1. メトロノームを96のテンポで刻ませる。
  2. 合計4拍×4小節(合計10秒)スーッ 吐息を吐いてロングブレスをする。

1小節目は下部の腹筋、2小節目は中部の腹筋、3小節目は上部の腹筋、4小節目は両側部の腹筋を意識する。

 

※息の量は一定にする。

 

◎ショットブレス

強弱表現の幅をさらに広げましょう

  1. 先ほどのロングブレスを行う
  2. 3小節目にかかる直前で息を止める
  3. 3小節目に入ったら、バシュッ!と瞬間的にすべての息を吐く

※下部の腹筋を特に意識、どこを意識すれば、一番瞬発力がでるか探す。

 

◎リップロール、タングトリル

ウォーミングアップ・クールダウン の項目にありますが、ここではその効用をまとめます。

☆リップロールの効用

  • 唇、表情筋のリラックス
  • 音程を外しにくくなる
  • 腹部の筋肉を刺激して起こす
  • 地声と裏声をなめらかな移行させる練習での活用

※など多くの場面で有用です

☆タングトリルの効用

  • リップロールより高い負荷の腹部への刺激になる
  • 後に出てくる、共鳴や声帯操作、発音で使われる舌根のコントロールも高まる

口角による声質の変化

声の最終フィルターである口の形で、響きの変化をおこし、通る声を作る方法です。

  • 犬歯が見える程度に口角を上げることでメインボーカル向けの明るい声になる。
  • ハモリであればメインボーカルよりやや口角をさげてメインボーカルが生きるようにする。
  • バックコーラスなど「ウーハー系」などをやる場合は、より口角をさげて和声感のでる深めの声質でその他パートの邪魔をしないようにする。

※2kHz周辺が豊かになることで声が明るくなります。(アナライザーなどで確認してもよいでしょう)

※口角とボーカルパートの例はあくまでも参考です。求められる声質によって口角の位置は変えましょう。

鼻腔共鳴強化

鼻に声を響かせる感覚を身につけましょう。

  1. Nのハミングで、鼻から息を吐く。
  2. 5秒からはじめて、20秒程度を目標に吐く練習をしていく。

※なるべく息・音がぶれないようにする。

※鼻腔共鳴の強化により1kHz周辺の響きが豊かになります。

口腔共鳴強化

  1. アー と声を出しながら、舌奥からのどちんこ周りを広げていくと響きの成分が変わることを確認しましょう。
  2. よくわからない場合は、上の前歯を触れながらやると、微妙に振動が加わることでわかるでしょう。
  3. このドライブ感のあるサウンドを歌声としてコントロールすることによって、パワフルさを増すことができます。

※主に2~4kHzの響きが豊かになります。

咽頭共鳴強化

  1. あくびをしながら声を出すイメージで、のどの低い位置で響きを作る。
  2. 音が太くなった印象があれば成功です。どこまで太くできるかチャレンジしましょう。
  3. 低い声が豊かになると、結果的に全帯域が豊かになります。小柄な歌い手が十分な声量を獲得するのに、大変有効です。

※主に200~1kHzの響きが豊かになります。